良家のお嬢様

聡志の器官は、夫人が何度快感の頂点を迎えても萎えることはない。

 

また、鍛えられたその赤銅色の体は、いくら抽送運動を繰り返しても疲労しなかった。

 

夫人は両脚を高く聡志の肩にかけ、女陰をしたたかに肉棒で犯され、

 

「ああ、あっ、最高だわ。

 

ものすごく味がいい。

 

あ、ああ、またよ、また来たわ。」

 

と話しかけると、

 

「あうっくっ、くぅーーーっ」

 

と今日何度目かの頂点に達した。

 

聡志は夫人の快感が徐々に退潮していくのを見定めて、再びゆっくりと律動を開始した。

 

夫人は聡志の首にかじりつき、両脚をその腰に巻き付けて歯を食いしばった。

 

躯じゅうの筋肉が硬直した。

 

その途端、

 

「お、お、おぅっくっ、くぅ」と夫人は小さなよがり声を立てて、そのまま動かなくなった。

 

次に手足の力が抜け、四肢がバタリと布団の上に落ちた。

 

快感が限界を超え、意識が遠のいてしまったのだ。

 

聡志は、夫人の様子を見て取ると、射精することのなかった肉棒を静かに夫人の体内から取り出した。

 

そして、その部屋を出ると、ぴたりと襖を閉めた。

 

小一時間ほどたったろうか、佐々木夫人はこちらに来たときと同様、着物をきちんと身につけて奥の間から出てきた。

 

顔色はますますツヤツヤとしており、若々しくなっている。

 

「トクちゃん、ありがと。

 

じゃ、またね。」

 

声をかける夫人に、聡志は座ったまま深々と頭を下げた。

 

夫人は婉然とした笑みを浮かべてその場を後にする。

 

聡志は、夫人の気配が消えるまで、じっとそのままの姿勢で座っていた。

 

 

ちょうどその頃、美奈代は、自宅の自分の部屋で電話をしていた。

 

「やっぱり、いない。」

 

電話を切ると、美奈代は唇を噛んだ。

 

いつの頃からだったか、母が自分の夕方から夜の予定を問い合わせる日がたまにあることを彼女は気づいていた。

 

そして、そんなときは母が愛人と過ごしているのではないかと、うすうす感づくようになった。

 

母は午後から

 

「個展会場に戻る」

 

と言っていたのに、画廊に問い合わせたところ、

 

「今日は戻る予定はない。」

 

という返事だった。

 

当然に母の電話にもつながらない。

 

どう考えても、誰かと密会しているに違いなかった。

 

母に対する怒りの気持ちはない。

 

父に告げ口する気も起きなかった。

 

告げ口してもどうこうなるものではないように思えた。

 

ただ寂しかった。

 

生まれてから30年余りの間、恋人どころか男友達がいたためしがない。

 

男から声をかけられることもない。

 

親が持ち込んでくる見合い話も、どれ一つとして進まない。

 

「良家のお嬢様だけに、普通の男は腰引けちゃうのよ。」

 

美奈代の知人たちはそう言う。

 

しかし、中学生の頃から、

 

「金持ちなんだけど、それだけじゃ、ねえ。」

 

という陰口をたたかれているのは知っていた。

 

鏡を見ても分かる。

 

貧相な顔、艶のない肌。

 

男だったら私だってこんな女を抱きたくはない。

 

無口で、華やかなところを避けるという父親譲りの性格も、拍車をかけている。

 

それに、佐々木財閥の娘ということで、就職も、海外留学も、一人暮らしも許してもらえない。

 

籠の鳥のような生活をするのはうんざりだった。

 

今は週2回ずつある料理教室と裁縫教室に通うほかは外に出る機会もめっきり減っていた。